2017年8月21日 記
「デジタル・デビル物語 女神転生(旧約・女神転生より)」。
3DダンジョンRPGとして有名なメガテンシリーズ第一作は、1987年9月11日発売のファミコン版「デジタル・デビル物語 女神転生」だった。
現在もWiiで配信されているのは、そのリメイクにあたるスーパーファミコン版「旧約・女神転生 女神転生I・II」である。
コンテンツメニュー
ゲーム紹介動画
「デジタル・デビル物語 女神転生(旧約・女神転生より)」我が懐かしきレトロゲーム
目次
1. 元祖!?メガテン
「メガテン」シリーズの第一作
1987年9月11日、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)は、ファミリーコンピュータ用ソフト「デジタル・デビル物語 女神転生(以後、DDS女神転生)」を発売した。開発元はアトラスである。本作は、後の「メガテン」シリーズに連なる第一作目に当たるが、同じくファミコンで1990年4月6日にナムコから発売された第二作「DDS女神転生II」や、スーパーファミコンにて1992年10月30日にアトラスから発売された「真・女神転生」とは違い、「DDS女神転生」は、西谷史氏の『デジタル・デビル・ストーリー』第一作「女神転生」を原作とし、原作・アニメの続編という形をとったメディアミックス作品の一つだった。よって、完全オリジナルストーリーとなり、悪魔絵師こと金子一馬氏がデザインに参画したシリーズ第二作目の「デジタル・デビル物語 女神転生II」(以後、DDS女神転生II)をもって「メガテン」シリーズが始まり、スーパーファミコンに舞台を移してアトラスから発売された「真・女神転生」以降を指して、「真」シリーズと分類されていたりする。むしろ多くの場合で、「DDS女神転生」の方がメガテンシリーズの中では異色作とされる。
ファミコン版の代わりに
と言うことで、レトロな3DダンジョンRPGの代表として、「女神転生(メガテン)」シリーズの第一作、ファミリーコンピュータ版「デジタル・デビル物語 女神転生」(DDS女神転生)を取り上げたかったのだが、残念ながらWiiやWii Uのバーチャルコンソールでは配信されていない。「サイト説明」にも記載している通り、このサイトでは、取り上げるレトロゲームの再現性を重視し、WiiやWii Uでのバーチャルコンソール(VC)配信をその目安としている。そこで、ファミコン版「DDS女神転生」の代わりにWiiでVC配信されているスーパーファミコン版「旧約女神転生 女神転生I・II」(以後、旧約・女神転生)の中から、「DDS女神転生」を取り上げようと思う。なお、Wii Uがあれば、WiiのVCはプレイ可能であり、4ページ目の「「デジタル・デビル物語 女神転生」の思い出」は、ファミコン版の「DDS女神転生」に対する個人的な思いである。また、名前の通り「旧約・女神転生 女神転生I・II」には、ファミコンで発売された第二作「DDS女神転生II」も収録されている。二本入っていてお得である。
3DダンジョンRPG
ところで、コンピュータRPGの草分け的存在と言えば、クォータービュー(見下ろし型)の2DフィールドタイプのRPG「ウルティマ」と、一人称視点の3DダンジョンRPG「ウィザードリィ」であろう(※1)。それまでアクションゲームやシューティングゲームが流行っていたファミコンで、エニックス(現スクウェア・エニックス)からリリースされた「ドラゴンクエスト」(1986年5月27日発売)や「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」(1987年1月26日発売)のヒットによりコンピュータRPGが定着したと、「ファイナルファンタジー II>1. ファイナルなのに、2が出た!>ファミコンとコンピュータRPG」にて記述したが、例えば、「ドラゴンクエスト」シリーズでは、シーンの移動にはマップ上の位置関係が分かり易い「ウルティマ」の2Dフィールドを採用し、戦闘シーンは「ウィザードリィ」のような一人称視点になっている。「FF」シリーズでは、シーンの移動は「ドラクエ」シリーズと同じ2Dフィールドだが、戦闘シーンでは自分のキャラクターを画面右側に配置したサイドビューを採用して独自性を出している。いずれにしても、2Dフィールドではマップ上の何処を歩いているかで迷うことが少ない。それ故に、マップを探索しながら何かを見つけることよりも、話を進めてストーリーに浸ることの方が重視されたのではないかとも考えられる(※2)。
(※1):パソコンで発売された「ウルティマ」の元祖は「Akalabeth」(1979年発売)という作品で、「ウルティマ」シリーズの第一作は「Ultima」(1981年発売)である。ファミコン版への移植第一作は「ウルティマ 恐怖のエクソダス」(1987年10月9日発売、ポニーキャニオン)であり、こちらは「Exodus:Ultima III」の移植である。他方、パソコンで発売された「ウィザードリィ」の第一作は「Wizardry #1 - Proving Grounds of the Mad Overlord (狂王の試練場)」(1981年発売)であり、こちらは1987年12月22日、アスキーよりファミコン版「ウィザードリィ」として発売された。どちらの系譜も、ファミリーコンピュータよりも歴史が古いが、「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」(1987年1月26日発売)の成功を受けてから移植されている点が興味深い。
(※2):主に子供をターゲットとした家庭用ゲーム機だったという側面から、分かり易さを重視して、クォータービューの2Dフィールドが採用されたのかもしれない。クォータービューなら、山や川、海、平野など、色分けするだけで地域差を表現できる。
それに対して、「ウィザードリィ」をはじめとする3DダンジョンRPGは、マッピングしながら迷宮を探索する事に重きを置いているとも言える。2Dフィールドのダンジョンでは、一般的に壁の向こうの階段や宝箱まで描かれているものだが、一人称視点の3Dダンジョンでは、目の前の壁の向こうに何があるのかは、実際に行ってみなければ分からない。2Dフィールドタイプよりもダンジョンの奥深くを探索している臨場感が味わえるのだ。こちらは、ストーリーもさることながら、マップを探索することを重視しているようにも思える。今回ご紹介する「デジタル・デビル物語 女神転生」は、「ウィザードリィ」を彷彿とさせるような一人称視点での全編3DダンジョンRPGであり、実際に、ファミコン版「DDS女神転生」の説明書には、“リアルな3D階層迷宮”と書かれていた。似たような地形で迷わないように、周辺マップを表示する魔法(ファミコン版:マッパー、スーファミ版:マッパラー)は通常最初から使用できるようになっているが、壁の向こう側に何があるかは実際に行ってみなければ分からないようになっている。迷宮を探索している臨場感に溢れているのだ。
「旧約・女神転生」
1995年3月31日、「DDS女神転生」は「DDS女神転生II」と共にスーパーファミコン用ソフト「旧約・女神転生」としてリメイクされた。今度の販売は「DDS女神転生」を開発したアトラスが自ら行った。アトラスは、その時既に「真・女神転生」と「真・女神転生II」をリリースしており、これら「真」シリーズを元にユーザーインターフェースなどが再構築されている。それ故にファミコン版よりも随分と遊び易くなっている。レトロな3DダンジョンRPGの中にはプレイヤーを突き放したような理不尽さを内包しているものもあったが、「旧約・女神転生」では、丁度良いレトロ感が味わえるバランスが生み出されている。次章では、そんな「デジタル・デビル物語 女神転生」のゲームシステムを「旧約・女神転生 女神転生I・II」版に即してご紹介しよう。