2016年11月15日 記
「スーパー信長の野望・全国版」。
光栄のファミリーコンピュータ参入第一弾は、1988年3月18日発売の「信長の野望・全国版」だった。
現在もWii及びWii Uで配信されているのは、そのスーパーファミコン版である。
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「スーパー信長の野望・全国版」我が懐かしきレトロゲーム #9
目次
1. 「信長の野望」というブランド
ファミコン版の代わりに
レトロなシミュレーションゲームの代表として、1988年に発売されたファミリーコンピュータ版「信長の野望・全国版」を取り上げたかったのだが、残念ながらWiiやWii Uのバーチャルコンソールでは配信されていない。「サイト説明」にも記載している通り、このサイトでは、取り上げるレトロゲームの再現性を重要視しており、WiiやWii Uでのバーチャルコンソール配信がその目安である。そこで、ファミコン版「信長の野望・全国版」の代わりにWiiやWii Uで配信されているスーパーファミコン版「スーパー信長の野望・全国版」を取り上げようと思う。なお、4ページ目の「「全国版」の思い出」は、ファミコン版の「信長の野望・全国版」に対する個人的な思いである。
シミュレーションゲーム
↑「ファミコンウォーズCM」:ファミコンを代表するウォーシミュレーションの有名なCM。
一言で言うと、シミュレーションゲーム(SLG)とは、現実世界のある状況をゲーム上で設定し、その状況下での変化を仮想体験するゲームである。その形式は多岐に渡り、将棋やチェスは、ボードタイプの戦略シミュレーションゲームの一形態とも考え得る。家庭用ゲームで発売されたり、家庭用ゲーム機に移植された主なシミュレーションゲーム(シリーズものの場合には一作目)を列記してみると、以下のようになる。
ジャンル名 | 内容 | 主なタイトル 発売日 |
---|---|---|
ウォーシミュレーション | 戦場での軍隊の動かし方を再現する | FC「ファミコンウォーズ」 1988年8月12日任天堂 |
シミュレーションRPG | ユニットの成長というRPG要素の入ったウォーシミュレーション | FC「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」 1990年4月20日任天堂 |
フライトシミュレーション | 飛行機のパイロットになる | SFC「パイロットウイングス」 1990年12月21日任天堂 |
経営シミュレーション | 企業や都市を運営する | 「シムシティ」 SFC版1991年4月26日任天堂より発売 |
育成シミュレーション | 競走馬や野球チームなどを育成する | FC「ベスト競馬ダービースタリオン」 1991年12月21日アスキー |
恋愛シミュレーション | 仮想恋愛を体験する | PCE「ときめきメモリアル」 1994年5月27日(SFC版1996年2月9日)コナミ |
鉄道運転シミュレーション | 電車の運転士になる | 「電車でGO!」 PS版1997年12月18日タイトー |
FC:ファミリーコンピュータ、SFC:スーパーファミコン、PCE:PCエンジン、PS:プレイステーション
このように、一口にシミュレーションと言っても様々な舞台設定がある。「信長の野望」シリーズは、戦国時代の群雄割拠を題材にしたウォーシミュレーションに該当する。それ故、ウォーシミュレーションの中でも特に、歴史シミュレーションと呼ばれている。
光栄のファミコン参入第一弾
1988年3月18日、光栄(現コーエーテクモゲームス)は、「信長の野望・全国版」でファミリーコンピュータに参入した。本作は、「信長の野望」シリーズの第二弾である。ちなみに、第一弾である初代「信長の野望」とは、織田信長と武田信玄のどちらかを選択し、中部・近畿を中心とした17ヶ国を統一するゲームだった。この要素は、「全国版」にも17ヶ国モード(スーパーファミコン版ではシナリオ1:列強争覇の章)として組込まれていると言える(※)。なお、初代「信長の野望」がパソコン用ソフトとして発売されたのは、ファミコン本体よりも4か月も前の1983年3月だった。「信長の野望」シリーズは、ファミコンよりも歴史が古いのだ。
(※)「全国版」では、織田信長や武田信玄以外の大名も選択可能である。
歴史シミュレーションの光栄
光栄は、初代「信長の野望」発売から2年後の1985年には、同じくパソコンで、「三國志」を発売している。この「三國志」をファミコンで出したのは、1988年10月30日だった。ファミコン版「信長の野望・全国版」発売の7カ月後である。この両者を主軸としていたので、90年代までは、光栄と言えば歴史シミュレーションの会社とのイメージが強かった。しかし、90年代の終わり頃から2000年代にかけて、「三國無双」(1997年2月28日発売、プレイステーション)などの無双シリーズを出し、2010年には「マイティボンジャック」(1986年4月24日発売)や「つっぱり大相撲」(1987年9月18日)、「忍者龍剣伝」(1988年12月9日発売)などのアクションゲームに強いテクモと合併したので、近年、光栄の歴史シミュレーションとのイメージはだいぶ薄まりつつある。
「信長の野望」シリーズ
「信長の野望」シリーズは、スピンオフや携帯機版を除いても、2016年10月時点で14作も発売されている息の長いシリーズだ。近年は、城単位や勢力単位で配下武将に指令を出し、リアルタイムストラテジーの要素を取り入れたり、箱庭のような街造りの要素を取り入れたりと、プレイの幅が拡大している。マップもいつしか3D化され大きな一枚絵になった。今年(2016年)のNHK大河ドラマ『真田丸』にも提供されて話題になっている。
このように、最近の「信長の野望」は、色々とやり込める複雑なゲームシステムになっているが、「信長の野望・全国版」の時は、シンプルながらも奥が深く、サクサク進めるゲームだった。
全てひらがな表記だったファミコン版に比べて、スーファミ版の「スーパー信長の野望・全国版」では、全国地図や戦闘画面が一画面に収まるようになるなど、ユーザインターフェースに改善が見られた。次章では、そんな「スーパー信長の野望・全国版」のゲームシステムをご紹介しよう。