探偵 神宮寺三郎 危険な二人

発売日1988年12月9日(前編)
1989年2月20日(後編)
ジャンル推理アドベンチャー
開発データイースト
販売データイースト
「探偵 神宮寺三郎 危険な二人」ページリンク
【その1】
【その2】
【その3】

2014年2月28日 記
2015年11月28日再構成

パッケージイラスト

探偵 神宮寺三郎 危険な二人」。
「探偵 神宮寺三郎」シリーズの第三弾は、神宮寺と洋子を交互に操作する本格推理アドベンチャーだった。

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「探偵 神宮寺三郎 危険な二人」我が懐かしきレトロゲーム

目次

1. 本格推理アドベンチャー

「探偵 神宮寺三郎」シリーズとディスクシステム

ディスクカード

探偵 神宮寺三郎 危険な二人」は、データイーストから1988年12月9日前編(写真左)が、1989年2月20日後編(写真右)が発売された、コマンド選択方式の本格推理アドベンチャー「探偵 神宮寺三郎」シリーズの3作目である。「探偵 神宮寺三郎」は、生誕25周年目にあたる2012年に、16作目(※1)が発売されるほど大変息の長いシリーズだ。なお、本作「危険な二人」は、後に携帯アプリやDS用にリメイクされているが、ファミコンのオリジナルとはストーリーが異なっている。ちなみに、8作品目からはワークジャムが制作し、Wiiのバーチャルコンソール版も含めて、近年ではアークシステムワークスが販売を担当している。

(※1):16作目=ニンテンドー3DS用ソフト「探偵 神宮寺三郎 復讐の輪舞」。2014年2月現在でもニンテンドーeショップにてダウンロード版を購入可能(税込4,320円)。

ディスクシステム

「危険な二人」は、ファミリーコンピュータ用周辺機器「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」用のゲームソフトとして、ディスクカードで前後編に分けて発売された。もちろん、ディスクカードを活かしたセーブ機能が付いている。
ちなみに、ファミコンで発売された「探偵 神宮寺三郎」シリーズは4作品あった。その中で、奇数番目(1作目と3作目)がディスクカードで、偶数番目(2作目と4作目)がロムカセットで発売されている。交互にメディア媒体を変えるのは少し珍しい。と言うのも、ディスクシステムが登場したのは1986年であり、1987年~1988年にかけて数多くの対応ソフトが発売された。しかし、本作の前編が発売された1988年の年末頃までには、ロムカセットの大容量化やバッテリーバックアップ機能の追加などにより、ディスクシステムのロムカセットに対する優位性が失われつつあった。さらに付け加えるなら、前作となる「探偵 神宮寺三郎 横浜港連続殺人事件1988年2月26日発売)」の時には、ディスクカードからロムカセットに媒体を換えて発売していた。このような状況下において、敢えてディスクカードに戻ってくるあたりが大変興味深い。一体どんな事情があったのか、機会があれば、是非とも当時の担当者にお聞きしたいものだ。

ファミコンのアドベンチャーゲーム

ポートピア連続殺人事件

ファミコン初のアドベンチャーゲームはパソコンからの移植作となる「ポートピア連続殺人事件」(エニックス)である。発売日は1985年11月29日だ。この作品の元となるパソコン版では、キーボードで直接入力するコマンド入力方式だった。アドベンチャーゲームの歴史は各所で語られているので割愛させていただくが、このコマンド入力方式は、下手をすれば言葉探しに終始してしまうことに陥り易い。そこで良く使うコマンドを事前にファンクションキーに用意したのが、コマンド選択方式の始まりだと言われている。こういった流れの中で、「ポートピア連続殺人事件」はコマンド選択方式に作りかえられてファミコンへと移植された。この「ポートピア連続殺人事件」はヒット作となった。内容を全く知らなくても、「犯人は○○」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。こうしてファミコンでもコマンド選択方式のアドベンチャーゲームが定着した。

もちろん、コマンド選択方式にも弱点はあった。それは、プレイヤーが介入(=操作)できる余地が少なくなったことで、大幅に難易度が下がったことである。入力方式の場合、入力させる言葉を複雑にするだけで、難易度が上がる。しかし、選択方式の場合、たとえ次に為すべきことが分からなくても、コマンドを総当たりすることで、ゲームを強制的に進行させることが出来てしまうのだ。言い換えれば、犯人が分かっていなくても、提示されたコマンドを全て試してみるだけで犯人にたどり着いてしまうのだ。当時、「長く遊べるゲームが良いゲーム」という風潮が(特に供給側サイドには)あったように思う。この論理に則れば、簡単にクリアされては困るのだ。
そこで、このコマンド選択方式の弱点に対して、ファミコン初期のアドベンチャーゲームでは、ゲームの本筋とは離れたところで対処しようとしていた。即ち、プレイ時間を引き延ばすわけだ。良く見られた例を三つほどご紹介しよう。

ポートピアのむしめがね

まず一つ目の方法として、十字キーを利用して画面のある部分を指定させる機能だ。有名な「ポートピア連続殺人事件」ではこの機能は“むしめがね”だった(左の写真)。この方法では、「どれくらいの範囲内にカーソルを置けば正解とするか」によって難易度の調整が可能なので、例えば“棚の下から二段目の左端”と細かく設定するだけで、簡単に難易度を上げられるのだ。
二つ目としては、2Dや3Dマップを導入し、そこをキャラクターで動きまわらせるのだ。キャラクターを操作している時間の分だけプレイ時間が延びる。この要素はファミコン初のアドベンチャーゲーム「ポートピア連続殺人事件」はもちろん、「探偵 神宮寺三郎」シリーズ第1作「探偵 神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件」(1987年4月24日発売)にも取り入れられている。
三つ目の方法として、選んではいけないコマンド―即ちコマンドトラップ―を混ぜ込むのだ。極端な例を挙げるなら、路地を右に曲がると犯人に追い付けるが、左に曲がると対向車にぶつかりゲームオーバーになる。そんな選択肢を散りばめるのだ。何故左に曲がるとゲームオーバーになるのかという説明は全く無い事が多い。ただの運だ。この例は極端だとしても、簡単にはクリアさせない為のこういった理不尽とも思えるコマンドトラップは、非常に多かった。選択肢の間違いによるバッドエンドや進行不能と言う意味では、「探偵 神宮寺三郎」シリーズでも第2作「横浜港連続殺人事件」までは存在していたと言える。

「危険な二人」というアドベンチャーゲーム

タイトル(スタート時)

翻って本日の主役、「探偵 神宮寺三郎 危険な二人」である。本作には上記三つの安直なプレイ時間の引き延ばし策が入っていないのだ。即ち、カーソル機能や2Dや3Dマップ機能、一発アウトの選択肢が無いのだ。純粋にコマンドを選びながら推理を進めていくことで、気持ち良くストーリーが進むのだ。これはある意味画期的である。もちろん、アドベンチャーゲームが更なる進化を遂げた現在では、当たり前の話かもしれない。むしろ、初期の頃のファミコンアドベンチャーをプレイすると、いきなりの2Dマップや3Dマップ、突然のゲームオーバーに戸惑うかもしれない。もちろん、それらにはその時々の事情があった。それも確かな話である。しかし、私には合わなかった。ただそれだけの話である。

「危険な二人」のプレイ画面

当時の私―私には兄がいるので、厳密には私たち兄弟と言った方が良いかもしれない―にとって、買うか買わないか、アドベンチャーゲームを見極める明確な基準があった。つまり、無駄な作業を強いるむしめがね機能が無いことと、理不尽な一発アウトのコマンドトラップが無いこと、そして、出来れば無駄なフィールドマップや3Dダンジョンも要らなかった。
 (やっと買えるアドベンチャーゲームが出た!)
それが、子供だった私たちが「危険な二人」の紹介記事を読んだ時の率直な感想である。毎週末1時間ずつとプレイ時間が制限されている子供にとって、無駄な時間を使わせるような冗長なゲームは要らないのだ。

次章では、そんな「探偵 神宮寺三郎 危険な二人」の主なキャラクターや序盤のストーリーをご紹介しよう。なお、コマンド選択式のアドベンチャーゲームなので、特殊な操作方法も無く、操作方法の紹介は省略させていただく。さらに、特別攻略に役立つテクニックや裏技も無かったように思えるので、いつも「その3」に掲載しているテクニックや裏技、小ネタの章も立てられない。よって今回は3頁構成となっている。ご容赦頂きたい。

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【その1】
【その2】
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【ニンテンドープリペイド番号】
 ※Wii版のVCをダウンロード購入する際に必要な「Wiiポイント」として、Wiiショッピングチャンネルにて登録可能です。
 但し、一度登録した「Wiiポイント」は、「ニンテンドーeショップ」の残高とは合算出来なくなるので、ご注意下さい。

【Wii U 本体&周辺機器】

【Wii 周辺機器】

その他

文中登場したファミコン用ソフトのバーチャルコンソール(VC)対応表(文中登場順、2015年11月28日現在)です。

タイトルWii版VCWii U版VC3DS版VC備考
「探偵 神宮寺三郎 危険な二人(前後編)」××514円(税込)、「探偵 神宮寺三郎」シリーズの第3作
「探偵 神宮寺三郎 横浜港連続殺人事件」××514円(税込)、「探偵 神宮寺三郎」シリーズの第2作
「ポートピア連続殺人事件」×××ファミコン初のアドベンチャーゲーム
「探偵 神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件」××514円(税込)、「探偵 神宮寺三郎」シリーズの第1作

ファミコンで出された「探偵 神宮寺三郎」シリーズ最後の一作は以下の作品です(VC対応は2015年11月28日現在)。

タイトルWii版VCWii U版VC3DS版VC備考
「探偵 神宮寺三郎 時の過ぎゆくままに・・・」××514円(税込)、「探偵 神宮寺三郎」シリーズの第4作
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