2016年12月21日 記
2017年7月15日追記
「F-ZERO」。
それは、スーパーファミコンの性能を活かして、スーパーファミコン本体と同時に発売された爽快SFレースゲームである。
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ゲーム紹介動画
目次
1. スーファミのローンチタイトル
ポストファミコン世代
1990年11月21日、任天堂より「ファミリーコンピュータ(ファミコン、8ビット)」の後継機「スーパーファミコン(スーファミ、16ビット)」が発売されたが、それは難産だったと記憶している。発売時期が何度も延期されたのだ。ファミコンとの互換機能も、当初の構想にはあったように思うが、結局、発売されたものには互換性は無かった。
家庭用ゲーム機を一般家庭に定着させたのはファミコンの功績の一つである。しかし、ファミコン以外に家庭用ゲーム機が存在しなかった訳ではない。ファミコンの処理能力の限界から、次世代機が望まれた中、スーパーファミコンが発売された時には、既に「PCエンジン(1987年10月30日発売、NECホームエレクトロニクス、8ビット)」も「メガドライブ(1988年10月29日発売、セガ・エンタープライゼス、16ビット)」も世に出ていた。スーファミは、いわゆる“ポストファミコン世代”を象徴する3機種の中では、最も遅い登場だったのである。
スーファミの特徴
16ビットCPUを搭載したスーパーファミコンは、ファミコンと比べると大きく進化していた。コントローラにはボタンが増え、右手用に「X」と「Y」が、人差し指用に「L」と「R」が使えるようになった。性能的には、例えば、使用可能な色は54色から32,768色へ、動かせるスプライトは横に最大8枚(1画面に64枚)から横に最大32枚(1画面に128枚)へ、同時発音数は4種類から8種類に増え、さらにステレオ対応のPCM音源が使用可能になった。・・・と一口に言っても、イメージし難いと思う。そこで、同じゲームの移植作を比較すると分かり易い。「#9 スーパー信長の野望・全国版」をご参照頂きたい。グラフィックもさることながら、紹介動画内で使用したBGMは、ファミコン版とスーファミ版を交互に切り替えており、音の進化もお聞きいただけると思う。
そして、当時画期的だったことは、背景画像の回転・拡大・縮小や、モザイク処理やウィンドウ表示などの処理を、本体で簡単にできるようにしたことである。特に一般ユーザーにも視覚的に分かり易い回転・拡大・縮小機能のインパクトは強かったようで、スーファミの一年後に発売されたメガドライブの周辺機器「メガCD(1991年12月12日発売)」には、より高度化された回転・拡大・縮小機能が搭載され、わざわざ発表されていた。スーファミよりも高性能なメガCDで、スーファミと同じ処理がより高度に可能な事が宣伝文句になったのである。当時、スーファミの回転・拡大・縮小機能は、それ程目新しいものだったのだろう。
ローンチタイトル「F-ZERO」
さて、そんなスーパーファミコン本体の発売日、同時に発売されたソフトが2本あった。これらは、いわゆるローンチタイトルというもので、本体の売れ行きはもちろん、その後の人気をも左右し兼ねない重要な位置付けのソフトである。まず一本目は、ファミコンを家庭用ゲーム機の代名詞とするだけではなく、広く一般家庭にコンピュータゲームを浸透させた「スーパーマリオブラザーズ」シリーズの第4弾「スーパーマリオワールド」である。ファミコンからスーパーファミコンへのプレイヤーのスムーズな移行を担い、新キャラクターの登場、グラフィックやBGMの進化、セーブ機能の追加など、スーパーファミコンの新機能をアピールするタイトルとなっている。
そして、ローンチタイトルのもう一本が「F-ZERO」だった。
こちらは、回転・拡大・縮小といったスーパーファミコンの新機能を全面にアピールしたタイトルである。背景を自在に回転できるので、コースの逆走までもが可能になっている(写真)。また、コントローラの「L」と「R」ボタンを使用し、十字ボタンによるハンドリング以外のコーナリングを実現した。
ファミコンの「F1レース(1984年11月2日発売、任天堂)」のように、それまでのレースゲームでは、ラスタースクロールという技法によりコースのカーブを表現していた。スムーズに曲がってはいたものの、細かいライン取りやコースの進行方向を変えることはなかなか出来なかった。それ故、縦横無尽に走り回り、ライン取りを考えてタイムアタックできる「F-ZERO」は、まさに次世代型の家庭用レースゲームだったのである。
次章では、そんな「F-ZERO」のゲームシステムをご紹介しよう。