2016年11月15日 記
2. シンプルなゲームシステム
本章では「スーパー信長の野望・全国版」のゲームシステムを簡単にご紹介しよう。折角なので、光栄のファミコン参入第一弾となったファミコン版「信長の野望・全国版」についても随時記述する。
ゲームの概要
「スーパー信長の野望・全国版」とは、戦国大名になって、北は蝦夷(北海道)から南は薩摩大隅(鹿児島)まで、全国50ヶ国統一を目指す、歴史シミュレーションゲームである。後のシリーズとは異なり、配下武将は居らず、選択した大名が死ねば即ゲームオーバーとなる。
コマンドの実行は、各国、季節毎に1回ずつ可能である。つまり、たった4回のコマンドで1年が過ぎるので、ゲーム進行がとても早い。その上、コマンド実行の順番は、毎季節、国毎にランダムに決定されるので、例えば、金や兵糧などを前線国に集めてから敵国を攻めようと思っても、先に前線国の順番が回ってくると、出陣が次の季節にずれ込むことになる。それ故、特に高齢の戦国大名は時間(寿命)との戦いにもなり、ゲーム難易度が上がる。
ゲームの進行状況は「セーブ」することが出来る。ファミコン版でも、バッテリーバックアップが可能だったが、「せーぶ」を選択した段階ではなく、その季節の命令を終えて、次の季節に移るタイミングでセーブされていた。もちろん、ファミコンなので、リセットボタンを押しながら電源を切っていた。
大名の死亡と入札
ちなみに、寿命や「暗殺」で大名が死亡した時や一揆で民が勝利した時、その国は空白地となり、隣接国による入札が行われる。但し、一揆が本国で発生して大名が死亡した場合は、本国以外の属国は入札になるが、本国では、謀反で兵が勝利した場合と同じく、新統治者(ランダムネームのCPU)が出現する(※GIFアニメご参照)。
入札は次の季節に変わる時に処理され、空白地は入札金額の最も高い大名の属国となるが、隣接国を全て同じ大名が統治している場合、入札は行われず、新統治者(CPU)が出現する。
「戦争」により大名が死亡すれば、その大名の統治していた属領は、全て勝利者の国になる。
ゲームの初期設定
シナリオ選択
「スーパー信長の野望・全国版」にはシナリオが4つあるが、シナリオ1が中部~近畿を中心とした17ヶ国モードで、シナリオ2~4が全国統一を目指す50ヶ国モードである。ファミコン版(やオリジナルとも言えるパソコン版)には、1560年開始の17ヶ国モードと50ヶ国モードしかなかった。開始年が異なるシナリオ3とシナリオ4は、「スーパー信長の野望・全国版」になってから追加されたものである。
17ヶ国モードと50ヶ国モード
17ヶ国モードのシナリオ1は、サクサク進めるお手軽版であり、シナリオ2以降は、じっくり取り組む本編のような扱いなのだが、国の区割りが違うので注意が必要である。例えば、写真左のシナリオ1では、能登(石川県)の南が一つの国(加賀越中、本願寺光佐)になっているが、写真右のシナリオ2では、加賀と越中が別の国に分けられている。越中の神保長職は、17ヶ国モードのシナリオ1には出て来ない。同様に、50ヶ国モードにのみ、木曾福島(長野県)の木曾義昌や丹後若狭(福井県)の一色義道が登場する。
方言モード
シナリオを選択し、各種設定をする時、「方言モード」の可否を求められる。写真のように、選択した大名によって、システムメッセージが方言になる。言葉が合っているかは良く分からない。これは、オリジナルのパソコン版にあって、ファミコン移植時に削られた要素である。スーファミ版で復活を遂げた。
初期能力値の決定
担当大名を選択すると、初期能力値を決定するミニゲームが始まる。「N」を選択すれば、何度でもチャレンジできる。各能力値の最大値は109。ゲーム開始後は、ゲームの進行状況に応じて、能力値が上下する。どの大名を選択しても、能力値決定のミニゲームは同じものであり、大名に応じた振れ幅制限などは無い。
能力 | 意味 | コメント |
---|---|---|
健康 | 低いと病気になり易く、高いと寿命が延びる。0で死亡する。「休養」で回復可能。 | 毎年の春に-1され、病気になった時にも減る。 |
野心 | 「外交」の「不戦」や「婚姻」の成功率に影響する。低いと成功しない。 | 戦争勝利時に上がるので、「外交」要らずの強国大名なら初期値は低くても良い。 |
運 | コマンドの成功率や他国が攻めてくる確率に影響する。 | 様々な確率に影響するので高い方が良い。季節ごとに変化する。 |
魅力 | 「外交」の「婚姻」や「寝返り」の成功率、「謀反」や「一揆」の発生確率に影響する。 | 「施し」実施時や戦争勝利時などに上がる。「兵忠」「民忠」の低い弱小大名の場合、初期値を高めておくと良い。 |
知力 | コマンドの成功率や訓練度の上昇幅に影響する。 | 自分よりも知力の高い大名には「暗殺」がまず成功せず、領国の「情報」も得難い。初期値で100以上は欲しい。戦争勝利時に上昇する。 |
個人的な優先順位は 知力>魅力>運=健康>>>野心 である。もちろん、選択した大名の年齢によっては「健康」の優先順位が上がり、周辺国が強力なら、「運」を高めて攻め込まれる確率を下げておきたい。
「知力」と「魅力」は、どちらも100程度は欲しい。「知力」が低ければ他国の「情報」をなかなか見ることが出来ず、無駄に金10を消費してしまう。また、「魅力」が低ければ「兵雇用」や「開墾」などにより「兵忠」や「民忠」が下がったタイミングで謀反や一揆が頻発しかねない。なお、「知力」は、ファミコン版では「ちのう」と呼ばれていた。
戦争に勝利すると「野心」「魅力」「知力」が上昇する。
メイン画面
担当大名の統治国に順番が回ってくると、「メイン画面(写真)」が開く。回ってくる順番はランダムである。
「メイン画面」は、左上より「西暦年と季節」、「戦略コマンド」の5カテゴリがあり、中央には「その国のデータ」と「相場」が表示され、下段にはシステムメッセージが流れる。
国データ
ゲーム開始時に注目すべき国データは、「兵力」「兵忠」「金」「兵糧」「民忠」「民財」である。
「兵力」が無ければ戦争に勝てず、「金」が無ければ他国の様子も見られない(1回あたり金10)。また、出兵には兵1あたり金1が必要である。「兵糧」が無ければ戦争を維持できないので、30日間戦い続けられるように、兵数と同数の兵糧は常に確保しておきたい。
「兵忠(兵の忠誠度)」が低ければ、謀反が起きたり、戦争中に兵が離反したりする。逆に高ければ、攻撃力・守備力ともにアップする。「民忠(民の忠誠度)」や「民財(民の財力)」が低ければ、一揆が起き易い。逆に高ければ、税金や米の収穫量が増える。「兵忠」や「民忠」は、「民政>施し」で上がる。「施し」は米よりも金の方が効果が高い。「民忠」は「民政>開発>開墾」や年貢率の上昇で下がり、「民財」は「民政>開発>町」や年貢率の上昇で下がる。なお、一向一揆の法主国である本願寺光佐の治める加賀では、一揆が全く発生しない代わりに年貢率を30%より上に設定できない。
相場
相場は毎年春に基準値が決定され、1年間、各国の大名の取引次第で変動する。相場の数値はそれぞれ1を売買するのに必要な金の量である。例えば、写真の様に兵5.9なら、兵1を雇うのに金5.9が必要という意味である。
米は2.0以上なら兵力と同数を残して売ってしまいたい。また、兵が4.0以下なら、多少無理をしても雇っておきたい。
戦略コマンド
ファミコン版では「めいれい」として、右側に個々のコマンドが列記されていたが、「スーパー信長の野望全国版」では、カテゴリ別に分類されるようになった。
よく使うコマンドは、「軍事>戦争」「軍事>兵雇用」、「民政>商人」「民政>施し」、「其他>情報」、「機能>中断」あたりだろうか。年に4回しか命令が出せない全国版では、実は「民政>開発」を多用しなくても良い。収入は「施し」である程度確保できるのだ。
特筆すべきコマンドは、「軍事>移動」と「民政>輸送」、「軍事>編成」と「民政>年貢」だろうか。「移動」は兵士や大名が隣接する本国や属領に移動し、「輸送」は金や兵糧を本国や属領へ輸送する。「編成」は、部隊編成である。全国版には配下武将が居ないので、戦争する部隊の初期値は第1部隊から第5部隊まで各20%になっている。攻め込む前に兵力を集中したい。具体的には、指揮命令を行う第1部隊(足軽隊)は0%に出来ないので、10~20%くらいを残し、足軽の2倍の強さの騎馬隊である第2部隊に兵力を集中させるのが基本である。鉄砲隊である第3部隊は、騎馬隊のさらに2倍の強さを誇るが、その比率は「武装」に依存するので、十分に資金が無ければ、高められない。「年貢」は年貢率である。秋の収入が極端に低い時には年貢率が低く、奪取した国の「民忠」「民財」が極端に低い時は、年貢率が高いことがある。奪取直後の国の順番が回ってきた時に1度はチェックするように心掛けたい。40~50%程度が妥当であろう。
戦争
「戦争」を開始すると「戦争画面(写真)」に切り替わる。ファミコン版では「HEX画面」と呼ばれていた。左側のデータは上段が攻撃側、下段が守備側である。写真では尾張から三河を攻めている。まず、守備側が陣を敷き、続いて攻撃側が部隊を配置する。西側から攻めたので、画面の左側から4マス以内の、反転しているマスに配置できる。もし北側から攻めていれば、画面の上側から3マス以内に配置する。初期配置により、移動距離が変わるので、どの国からどの国を攻めるかによって、戦争の難易度が変化するのだ。これも本作の戦略上重要な要素の一つとなる。
写真の通り、攻撃側は、城とその周辺、町、守備側が配置したマスには配置できない。
勝利条件
戦争の勝利条件は
攻撃側
1)守備側第1部隊を殲滅
2)守備側の敗走
3)守備側の兵糧が0
守備側
1)攻撃側第1部隊を殲滅
2)攻撃側の敗走
3)攻撃側の兵糧が0
4)30日間経過
5)第1部隊同士が相打ちで全滅
となっている。若干守備側が有利だ。兵糧は第1部隊が持っている。兵糧は30日間持つように、兵数と同数は確保しておきたい。
戦後処理
戦争で勝利すると、敵の金と兵糧、残された兵を全て手に入れられる。写真は、兵力を等分して尾張から三河を攻め取った直後のデータである。兵75で攻めたので、結果的に兵が25増えた。また、相手の方が「兵忠」が高かったので、「兵忠」も27増えた。このように、出来るだけ、他の部隊を残して第1部隊だけを殲滅するように心掛けると、戦争により兵力を増強し得るチャンスとなる。
なお、大名が居る本国を突くと、大部隊で敵第1部隊に隣接するだけで隣接する属領へ逃げていく。この場合、第1部隊を殲滅するよりも多くの戦果が得られるので、複数の国を有する強敵を相手にする時は、出来るだけ相手の本国から攻略したい。もし、大名を討つと、その大名の治める属領すべてを総取りできる。故に、この場合、相手の本国を孤立させて一気に叩く戦術が有効である。
こうして、「メイン画面」で国力を整え、「戦争画面」で50ヶ国の統一を目指すのが本作の基本構成である。さて、次章では、そんな全国統一に役立つちょっとしたテクニックをご紹介しよう。