2014年4月8日 記
2015年9月27日再構成
2. ゲームシステム
「FF2」の特徴的なゲームシステムは、大きく分けて二つである。その一つはキャラクターの成長システムであり、もう一つが会話中のワードメモリーシステムである。
成長システム
「FF2」には、「ドラクエ」シリーズや「FF1」のような職業(クラス)による差や経験値によるレベルアップが無い。その代わりに熟練度システムを中心とした独自の成長システムを取っている。
1)熟練度システム
まずは簡単な「熟練度システム」からご紹介しよう。
職業(クラス)の概念のない「FF2」では、全てのキャラクターが全ての武器や防具を装備でき、全ての魔法を覚えることができる。それゆえ、キャラクター毎の差異は、見た目、初期ステータス、利き腕等に止まる。熟練度システムの概要は以下の通りである。
- 武器と魔法は、戦闘中や通常時の使用回数などに応じて熟練度がたまる。
- 武器は種類(剣、杖、槍、斧、弓、ナイフ、素手、盾)ごとに、魔法は個別に熟練度が設定されている。初期値は1-00(レベル1、熟練度0)である。
- 熟練度が100になると、レベルが1上がり、攻撃回数が増えるなどの効果がある。レベルの最大は16である。
盾だけは効果が異なり、盾の熟練度レベルが上がると、回避率を高めることができる。
なお、オリジナルとなるファミコン版では、戦闘終了後にも効果が継続する永久的な状態変化(死、石、蛙、忘却、呪い、猛毒、盲目)中は、熟練度はたまらない。
2)ステータスの成長
「FF2」では、敵を倒しても経験値を得られない。その代わりに、戦闘中に行った行動に応じてステータスが上下する。ステータスの成長システムの基本は以下の通りである。
- 「たたかう」を選択すると、「ちから」が上がる(さらに「ちせい」が下がる)ことがある。
- 黒魔法を使うと、「ちせい」が上がる(さらに「たいりょく」が下がる)ことがある。
- 白魔法を使うと、「せいしん」が上がる(さらに「ちから」が下がる)ことがある。
- 「かいひりつ」の%を上げておくと、戦闘終了後に「すばやさ」が上がることがある。
- 1回の戦闘中にHPやMPが最大値の1/8以上下がると、それぞれ「たいりょく」と最大HP、「まりょく」と最大MPが上がることがある。
- 各ステータスの上限は99(ファミコン版の場合、防具の+10効果を加えると109、表示上は「あ9」)
- 最大HP、最大MPの上限は65535(ファミコン版の場合)
なお、オリジナルとなるファミコン版では、戦闘終了後にも効果が継続する永久的な状態変化(死、石、蛙、忘却、呪い、猛毒、盲目)中は、ステータスは上下しない。また、ステータスが下がることもあるので、ALL99のキャラクターは作り難いシステムなのだが、リメイク版の中にはステータスが下がらないものもある。
ポイントは「すばやさ」である。説明書には「敵の攻撃をうけた回数」に応じて上がるとあるが、敵の物理攻撃の攻撃対象とならない後列に居るキャラクターでも、「かいひりつ」の%を高めておけば、「すばやさ」はどんどん上がっていく。
次に、ステータス画面の中で、最もチェックすべき項目である%付きの項目をご説明する。
- 「めいちゅうりつ」は、武器による攻撃回数と命中成功率を表す。攻撃回数は武器の熟練度レベルに、命中成功率は「ちから」と装備している武器に依存する。
- 「かいひりつ」は、敵の物理攻撃を回避する回数と、回避成功率を表す。回避回数は敵の攻撃対象になると上がっていく。回避成功率は、「すばやさ」と盾や一部の武器に応じて上がり、重い防具を身につけると下がる。
- 「まほうぼうぎょ」は、敵の特殊攻撃(魔法やゆみ、いんせきなど)を回避する回数と、回避成功率を表す。特殊攻撃を回避する回数は、敵の単体特殊攻撃の対象になると上がっていく。特殊攻撃の回避成功率は、「たいりょく」と「まりょく」、一部の防具により高められる。
これらの数値の特徴は、どんなに左側の回数が多くても、右側の成功率が0%なら、全く無意味になってしまう点にある。例えば、「めいちゅうりつ」が16-00%だと、結局一回もこちらの攻撃は当たらないし、「かいひりつ」が16-00%なら、敵の攻撃を全て受けてしまう。「まほうぼうぎょ」が16-00%なら、弱い敵の「スタン」や「スリプル」でも麻痺したり眠ってしまう可能性が高い。各成功率の最大値は99%である。できるだけ、高めておきたい。また、新しい武器や防具を装備した際は、必ずステータス画面で%の数値の上下をチェックしておきたいものである。
ワードメモリーシステム
ストーリー上の新システムとして、「FF2」にはワードメモリーシステムが採用されている。これは、重要な単語を「おぼえ」て、「たずねる」ことで、プレイヤーがストーリーを能動的に進めるためのシステムだ。まるでアドベンチャーゲームをしているかのようなコマンドの利用法だが、当時のRPGでは珍しかった。しかし、アドベンチャーゲームほど“聞き込み”に特化したシステムでも無く、覚えられる単語は、出現時にチャイムと共に【】で括られているので、見逃すことはないだろう。
3. ストーリーとキャラクター
ストーリー
「FF2」の特徴の一つが個性豊かなキャラクターの織り成す重厚なストーリーである。まずは背景世界をご紹介しよう。
魔物を呼び寄せて世界征服を企むパラメキア帝国に対し、
反乱軍はフィン王国で立ち上がったものの、
帝国の総攻撃によりフィン城を奪われ、
辺境の町アルテアへと撤退しなければ“ならかった”。
“ならかった”の部分は、本作のプロローグにおける脱字へのオマージュである(写真ご参照)。次に、プレイヤーの分身たるキャラクター達の置かれている状況である。
この帝国の総攻撃により、帰る場所を失ったフリオニール、マリア、ガイは、
フィンの王女ヒルダと白魔導師ミンウに助けられ、
反乱軍に参加する決意をするのである。
今思えば、『スターウォーズ』の設定に酷似しているのだが、少なくとも、ファミコンで体験できるストーリーとしては最上級であり、当時の私はとても楽しめた。
主なキャラクター
ここからは、主な登場キャラクターをご紹介する。まずはプレイヤーが操作するメインキャラクターから。
フリオニール | |
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本作のメインキャラクター。隊列上は一番上。レオンハルトとマリアの両親に育てられた。何故か「せいしん」がグングン育つが、リメイク版では修正されているので多分バグ。 | |
マリア | |
本作メインキャラの紅一点。隊列上は二番目。レオンハルトの実妹。前列に出しておくと敵のターゲットになり易い。天野氏のイメージイラストでは、マリア単独の絵と多人数の絵とで髪の色が異なり、リメイク版では多人数の方を採ったのか黒髪に変更されている。 | |
ガイ | |
レオンハルトとマリアの両親に育てられた心優しき巨漢の青年。隊列上は三番目。前列に出しておくと敵のターゲットになり易い。意外に「ちせい」が上がり易い? | |
レオンハルト | |
マリアの実兄。フィン城陥落の際に、他の三人とはぐれてしまう。隊列上は一番下。 |
次にメインキャラクターを取り巻く個性豊かなキャラクター群である。しかし、説明書にもキャラクター紹介の記載は無かったように思うので、それに倣って一部のキャラクターのみのご紹介に止めておく。
まずは反乱軍のキャラクターから。
ヒルダ | |
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フィンの王女。重傷を負ったフィン王の代わりに反乱軍の指揮を執る。アルテアへ撤退する途中でフリオニール、マリア、ガイを助ける。 | |
ミンウ | |
魔術の国ミシディア出身の白魔導師。フィン王国に仕え、反乱軍のブレーンを務める。フリオニールの運命が見え、それは自分の運命と関わっていると予言する。 | |
スコット | |
カシュオーンの王子。ゴードンの兄。フィン城陥落の攻防戦で戦死したと伝えられている。ヒルダとは良い仲だったようだ。 | |
ゴードン | |
カシュオーンの王子。スコットの弟。スコットを置いて逃げ出したことを悔いているが、ヒルダに拒絶されるのが怖くて反乱軍に志願できずにウジウジしている。しかし、潜在能力は高い。 |
次にパラメキア帝国側のキャラクター。
こうてい | |
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パラメキア皇帝。魔界より魔物を呼び出せるほどすさまじい魔力の持ち主にして、世界征服を企む張本人。ゲーム中に本名は出てこない。 | |
ダークナイト | |
皇帝の右腕。バフスクで大戦艦の建造の指揮に当たっている。 |
最後は、FF2が初登場となるシリーズお馴染みのキャラクターを。
シド | |
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ポフトのパブで、飛空船を運航している人物。金さえ払えば戦地だろうと送ってくれる。その素性はフィン王国の元白騎士団のリーダー。シドと言う名のキャラクターはFFシリーズ初登場。 | |
チョコボ | |
カシュオーンの深き森の中に生息する生物。捕まえると敵に出会わずに徒歩の2倍のスピードで地上を移動できるが、一度下りると森へと帰って行ってしまう。FFシリーズ初登場。 |
当時としては複雑過ぎたのだろうか。「FF2」には数多くの裏技やバグが存在する。それらの一部を次章にてご紹介しよう。