2014年4月8日 記
2015年9月27日再構成
6. 思い出
最後に思い出話をして、本稿を終えようと思う。
アニメーションバトル
「FF2」のいきなり始まるバトルシーンのインパクトは大きかった。
(くろきし、つえー)
そして、これほどテンポ良くアニメーションするコンピュータRPGの戦闘シーンは初めてだった。
(ゆみ、すげー刺さる!じゃあ、素手は?)
クリアした後も、戦闘シーンでのアニメーションを見たいが為に、武器の熟練度上げをした。手違いで盾だけを装備した状態で敵を殴った時には驚いたものだ。素手のように派手に盾で殴った割には、ダメージがショボイのである。そう言えば、ファミコン版の盾には攻撃力が設定してあった。
(石化した敵の絵、カッコ良いなあ。)
また、私は敵のドット絵が好きだった。中でも、特にお気に入りは、石化状態の絵だ。確実に石化した絵を眺める為に、あちこち巡ってはウォールブレイクで敵を石化してみた。
(アスタロートやベルゼブルの石化絵はどうだろう?)
これらは最終ダンジョンで一度しか戦闘できないモンスターである。自然と、二周目に入って行った。
(じゃあ、今度は裏技を使わずに行ける所まで行ってみよう。)
こうして、「FF2」の成長システムをようやく理解することができた。恥ずかしながら、私も初見時に裏技を使いまくって苦労した口である。二周目をやってみて、初めて成長システムのバランスの良さに気が付いた。小まめにステータスをメモするようになり、攻略本を読まなくなった。
幻想的なBGM
――天野喜孝氏のイメージイラストと植松伸夫氏のBGM。
この頃のFFは、極めて幻想的である。
「FF2」は、私が初めてプレイしたFFシリーズだった。故に、その幻想的なBGMも初めて聞いた。その結果、単純な音階の曲が多いファミコンで、これほど複雑に奏でられることが新鮮でもあり、“他には無い音”として一気に引き込まれていった。私のお気に入りは、オープニングでいきなり始まるバトルシーンの曲と、ストーリーの進行により途中で聞けなくなってしまう反乱軍のテーマである。先程、最終ダンジョンで一度しか戦闘出来ないモンスターを見る為に自然と二周目に入ったと書いたが、コンピュータRPGでクリア後に再挑戦したのは「FF2」が初めてだった。当然ながら、反乱軍のテーマをもう一度聞きたいという思いも背中を大いに押した要因となっていた。それほど、「FF2」のBGMに対する思い入れが強かったのだ。
「FF2」の今回の紹介動画を作っている頃、たまたまネットで「FF2」の戦闘シーンのBGMを演奏した動画を見かけたが、残念ながらそれはリメイク版のものだった。確かに、リメイク版にはリメイク版の良さがあるとは思うが、やはり、戦闘シーンのBGMはファミコン版の時のものが好きだ。それゆえ、今回の紹介動画には“これがオリジナルの旋律だ”と言わんばかりに、これでもかと言うほど戦闘シーンを多用していたりする。また、まずは流したいBGM有りき、で構成を組み立てているので、ところどころ説明文が不自然なほどに長かったりしているのは誠に申し訳ない。ちょっとBGMにこだわり過ぎた。
FF2の当時の評価とその後の評判
こうしてみると、ファミコンとは言え、「FF2」とはかなり複雑なゲームである。キャラクターメイクの自由度が高く、隠しパラメータのみならず、バグまでもが満載である。
それに対し、当時のファミコンのRPGとは良くも悪くも「ドラクエ」だった。レベルが上がり、攻撃力や防御力の高い装備が手に入ると、ストーリー攻略が楽になるのが当たり前なのである。しかし、「FF2」にはこの法則が通用しなかった。ABキャンセルで闇雲に武器の熟練度を上げ、パーティアタックで必要以上に最大HPを上げ、攻撃力と防御力のみを基準にして装備品を選別していては、いずれ大きな壁にぶつかるのだ。裏技に飛び付き、次第にダンジョン攻略が苦しくなって投げ出すプレイヤーが続出するのは当然の結果とも言えるだろう。
メディアもメディアで、攻略記事と称して、成長システムを理解せずに書き散らしていた節がある。一言一句までは覚えていないが、概ね以下の通りである。
「クリアする為にはHPが最低5000は必要だぞ。」
「攻略の基本はブラッドソードにある。」
きっと、当時の「FF2」攻略担当の人は、締め切りに追われながら、随分と苦労したに違いない。
こうして、「FF2」はFFシリーズのナンバリングの中で、異端とも言える扱いを受けることになる。当時私の周囲にも、
「FF2?ああ、あのバランスがメチャメチャで裏技を使わなければまともにクリアできないやつな。」
と言ってはばからない者もいた。悲しい話である。
だがしかし、その後のインターネットの普及により、状況に変化の兆しが表れた。隠しパラメータなどを調査して公開し、「FF2」が実は簡単だとする攻略サイト群が出現したのである。さらに、リメイク版やバーチャルコンソール版の発売もあり、再び手にしたユーザーを中心に再評価の動きが一部で見られた様に思う。即ち、裏技に特化しない攻略法が広がり始めたのだ。
ところが、である。
一度大きく振れた振り子は、逆方向にも大きく振れやすい。
今度は裏技に対するアレルギー反応とも思えるような過剰な拒否反応が垣間見られ始める。その多くは、「かいひりつ」至上主義とも言うべき反応である。確かに、「裏技を使って簡単になっているはずなのに、それでも後半が難しいから極めて高難度のゲームだ」という滅茶苦茶な評論は、全くもって不当である。しかし、だからと言って、「かいひりつ」だけに注目し、その他は全て無駄というのも頂けない。「かいひりつ」もステータスの1要素でしかないからだ。以下はいつのころからか、ネットでチラホラ見受けられた反応の一例である。
「FF2?ああ、回避ゲーね。無駄な防具が多いよね。」
「ブラッドソード、こだいのつるぎ、ねむりのけん、この三大チートアイテムは使用禁止にしないとツマラナイよ!それじゃ本質が分からないよ!」
この場合の本質ってなんだろう?うーむ。歴史は繰り返すのかもしれない。
「FF2」の“正しい”遊び方
結局、過ぎたるは及ばざるが如し、である。自由なキャラメイクが可能な「FF2」では、どのように遊ぼうが自由である。いきなり表題を裏切ることになるが、「FF2」の遊び方に正しいも正しくないも無いのだ。裏技を駆使しようが、封印しようが、回避特化型にしようが、ある程度の防御力を望もうが、自由である。要するに楽しめば良いのだ。裏技禁止などの縛りプレイが楽しい方はそのようにすれば良い。ブラッドソードもこだいのつるぎも、用意された手段なのだから多用しても良い。「FF2」にはこうしなきゃ解けない、が無いのである。攻略サイト群で紹介されてきた攻略法も、そうしなければ解けないとはどこにも書いていないと思う。また、後半苦労するだけで、それらを序盤で駆使しても解けないわけではないのだ。
いかようにプレイしてもゴール(クリア)へと通じる道がある。非常に懐の深いゲーム、それが「FF2」なのである。
リメイク版とバーチャルコンソール版
「FF2」からFFシリーズに入った身としては、やっぱり「飛空艇」と言うより「飛空船」であり、「ギル」ではなく「ぎる」である。BGMに酔いしれ、ミンウの強さに惚れ惚れし、ゴードンの潜在能力の高さに驚愕したものだ。
ファミコン版とそれを再現したバーチャルコンソール(VC)版で当時の雰囲気を味わうのも良いだろう。ただし、「バリア」のような表示されるのに処理されないバグには注意が必要であり、魔法の全体化攻撃の時間の長さには心に若干の余裕が必要である。じっくり進めるタイプの方には合うかもしれない。その一方で、数々のリメイク版も出されている。ワンダースワンカラー(WSC)版にはじまり、プレイステーション(PS)版(およびそのアーカイブス版)、ゲームボーイアドバンス(GBA)版(I・II同梱)、PSP版、フューチャーフォン版、スマートフォン版(iPhone/Android)などである。PS版のアーカイブス版(PS3、PSV、PSP)やスマホ版あたりが入手が楽であろう。リメイク版には、キャラクターが話し過ぎるきらいがあり、良くも悪くもグラフィックスやBGMがアレンジされている。ファミコン版に比べて、全体の難易度は低めなので、サクサク進むのが好きな方には良いだろう。バーチャルコンソール版、リメイク版、どちらでも構わない。是非一度、「FF2」で出会いと別れのストーリーを体感して頂きたい。
7. 終わりに
「ファイナルファンタジーII」いかがだったであろうか?
ファミコン実機と中古のソフトを用意すると言うのも良いが、Wii U(またはWii)でWii U版(またはWii版)のバーチャルコンソール(VC)版を購入するのが、一番手軽ではなかろうか。3DS版のバーチャルコンソール版も販売されている。
私は、これまでオリジナルのFC版に始まり、今回の紹介動画に使用したWiiや3DSのVC版の他、WSC版、PS版、GBA版、Android版をプレイしてきた。先日、Wiiがディスクを認識できなくなったことを機にWiiからWii Uに乗り換えたので、早速Wii UのVC版を購入した。そろそろ再び、「ふふっ さっそく あいことばをつかっているな。」とミンウに言ってもらおうかと考えている。