スーパーマリオブラザーズ

発売日1985年9月13日
ジャンルアクション
開発任天堂
販売任天堂
「スーパーマリオブラザーズ」ページリンク
【概要】
【魅力】
【裏技】
【思い出】

2013年10月11日 記
2016年11月15日更新

2. 「スーパーマリオ」の魅力

前章で、「スーパーマリオ」は、ファミコンのみならず家庭用ゲーム機の社会的地位をも確立させたと述べた。そんな「スーパーマリオ」の魅力は、一体どこにあるのだろうか。本章ではそれを探って行きたい。

魅力《1》 分かり易い操作性

ファミコンのIコントローラー

まずその一は、分かり易い操作性である。
今のゲーム機を基準にして考えると、ファミコンというものは、ボタンの数が随分と少なかった(写真)。それでも、説明書を読まないと操作方法が分かり難いというゲームは山ほどあった。
しかし、「スーパーマリオ」はとても分かり易かった。

1-1の冒頭シーン

初めて「スーパーマリオ」を見た時、操作するキャラクターや、ひたすら右に行くというゲーム性は、誰もが直観的に理解できたと思う。そして、取りあえずゲームをスタートして、コントローラーの少ないボタンを適当に押しているうちに、操作方法に慣れた人も多いだろう。
しかし、このことは、当時のプレイヤーが皆、操作に慣れるまでゲームし続ける忍耐力を持ち合わせていたという話ではない。実は、誰もが最初にプレイするであろう1-1の冒頭部分が、チュートリアルになっていたのだ。(参考:「任天堂公式サイト>社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』>その1 >4.いいキノコだとわかってもらうために」)では、簡潔に説明する。

[1]スタート地点
まず、スタート時点で一人っきりなので操作キャラが分かり易い。そして、数少ないコントローラーのボタンを適当に押してみると、十字キーの左右で移動でき、右に進んでいくゲームだと分かる。
[2]初めての敵キャラ
次に、少し進むと右から何かがやってくる(クリボーである)。既にAでジャンプすると知っていれば、避けられたり倒せたりする可能性は高い。だが、それが分からなかったりジャンプに失敗して当たってしまうと、1機失ってしまう。なので、さっきの歩いてくるキャラクター(クリボーである)には横から当たってはいけないことが分かる。
[3]「?」ブロック
さらに右に進むと「?」を含めたブロック群が出てくる。ここまで来る間に、ほとんどの場合クリボーをジャンプで避ているはずだから、「?」の下でジャンプしてみる。何かが貰えるらしい(コインである)。さらに、下から押してみる。・・・何か出た(スーパーきのこである)。
[4]避け難いキノコ
一瞬、デカいキノコは去ってゆくように見えるが、その先に土管があり、こちらに跳ね返ってくる。さっきの敵キャラ(クリボーである)と似ている気もするので、ジャンプで避けたい・・・が、上空にブロックがあるので、高く飛べない。そうこうしている間に、大抵の場合、キノコに当ってしまう。すると巨大化した。今度は1機も失っていないので、触って良いキノコだと分かる。
[5]パワーアップ
そのままジャンプを繰り返していると、ジャンプでブロックを壊せるようになっていた。このことから、さっきのキノコはパワーアップだったんだと分かる。

ここでのポイントは、ずばり、土管にある。

1-1最初の土管

キノコは土管に当たって戻ってくるし、タイミング良くジャンプできなければ、土管を越えられず、次に進めないのだ。一般に、当時のゲームはデータ量をどう抑えるかが鍵だったと振り返る制作者は多い。少ない容量の中では、それと分かるチュートリアルステージを別個に作る事は出来ない。その代わり、第1面をチュートリアル代わりにすると言うのは常套手段だった。しかし、「スーパーマリオ」の1-1冒頭部分ほどの短さで、瞬時にゲーム性を習得させることができるものは、あまり無かったと思う。
「あいつ、スーマリの最初のクリボーで死んでやんの。」
などという笑い話には、実は意味があったのだ。初めてのプレイでクリボーに当たって死んでも、それは制作者の想定の範囲内なのである。振り返って見ると、「スーパーマリオ」登場後、子供ながらに「始まり方がスーマリっぽいな」と感じるアクションゲームに何度か出会っていたのだが、そういうゲームは「スーパーマリオ」の1-1の冒頭部分、即ちチュートリアル部分を取り入れていたのだろう。

魅力《2》 明るい世界観

1-3アスレチック面

「スーパーマリオ」の魅力の二つ目は、その明るく楽しげな世界観だ。
陸(地上)・海・空(ボーナス)のステージがあれば、地下や城の中のステージもある。「スーパーマリオ」はゲームの舞台が多様であり、驚くほど世界が広い。

ドンキーコング」にしても「マリオブラザーズ」にしても、当時のTVゲームには背景が黒色のものが多かった。科学的な論拠は定かではないが、背景が黒色である理由の一つとして、ビデオゲームは常に光を発するので黒色の方が目に優しいからだと説明されていた。兎にも角にも、黒背景を多用すると、よく言えば重厚なイメージが、悪く言えば暗いイメージがどうしても付きまとってしまう。それを逆手にとり、宇宙空間という全面真黒でも構わない舞台を用意したのが、所謂インベーダーゲームだったのだろう。

タイトル画面(再掲)

そんな中、登場したのが「スーパーマリオ」なのだ。スタート地点の1-1には、青い空が広がり、白い雲が浮かんでいる。茶色い大地があり、緑色の茂みと・・・土管があった。この地上ステージを元にしたスタート画面も青を基調としており、華やかであり、賑やかだ。当サイトでご紹介した「イー・アル・カンフー」にしても「スターラスター」にしても、タイトル画面からして背景は黒だった。“黒地に白文字、強調は赤”が如何にもレトロゲームっぽいゲームタイトルの基本構成だ。しかし、「スーパーマリオ」は、そうではなかった。明るく、取っ付き易かった。一般受けすると言う意味で、おもちゃ屋の店頭(※当時は任天堂と付き合いのあったおもちゃ屋でファミコンが売られていた)でオープニングデモを流すのにも最適だったのではなかろうか。

夜のワールド3

一つ付け加えるならば、「スーパーマリオ」でも、黒背景のステージは存在する。地下と城だ。しかし、地下ステージには地下へ下りる演出と、地上へ出てポールにつかまる“儀式”が存在するのが功を奏した。明るい地上ステージが主であり、地下をやっと抜け出せたと思える演出である。異質なのは、ワールド3とワールド6だ。両者では地上ステージであるにもかかわらず、背景が黒色になる。夜のステージだ。地上は明るいと思っていた矢先の夜だ。これはかなり新鮮に映る。効果的な背景色の使い分けである。

魅力《3》 軽快なBGM

BGMで高まる緊張感(城)

「スーパーマリオ」、三番目にご紹介する魅力はBGMの力である。聞き飽きることもなく、それでいて、その場の雰囲気が伝わり、なおかつ、次の1機に直ぐにトライしたくなるような、そんなBGMである。

ゲームミュージックを作る上で、作曲者の近藤浩治氏は「何回聴いても飽きないように」を念頭にしていると言う。実際には、何時間も聴き続けられるかを自ら確認し、もし何時間も聴き続けられない場合には、その曲のどこかに問題があるのだそうだ。(参考:「任天堂公式サイト>社長が訊く『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』>サウンドトラックCD 篇>2. 何度も聴けるようにするために」)さらに近藤氏は、「スーパーマリオギャラクシー」(Wii用ソフト、2007年11月発売)から作曲に関わっている横田真人氏の話に同調する形で「何度失敗しても、つねに前向きになれるイントロをつくるように」心掛けていると続けている。これは、何度も同じ箇所を繰り返すかもしれないアクションゲームのBGMにおいて、最も重要な要素ではなかろうか。
♪テレッテッテレッテ・・・ッテ♪(※1)
なんとも楽曲を文字で表現するのは大変難しいわけだが、地上BGMの最初の部分のつもりだ。
先程の項目では、「スーパーマリオ」の明るい世界観の一例として、その色彩を挙げた。しかし、より厳密に言えば、BGMのノリも相まって、明るい楽しげなイメージが生み出されているのだと思える。ミスをした時の効果音が、全く嫌味な感じがしないのはもちろん、城のBGMを聞けば、ボス戦に向かう緊張観を感じることができる。ゲームにおいて、BGMは大変重要な要素なのだ。

(※1):「任天堂公式サイト>社長が訊く『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』>サウンドトラックCD 篇>4. 近藤浩治のCD収録曲解説(1)」にて「スーパーマリオ」の地上BGMが試聴できる。作曲者ご本人の解説付きで、少々お得である。
なお、拙作の『「スーパーマリオブラザーズ」我が懐かしきレトロゲーム』では各種BGMもそのまま使用しているが、画面下部に広告が表示されると思う(「×」をクリックすると非表示)。この広告は、任天堂が所有するBGMに関する著作権を確認するボタンを押した所、表示されるようになった。

魅力《4》 絶妙な設定

ポール最上段で5000点

「スーパーマリオ」、最後にご紹介する魅力は所謂やり込み要素の絶妙な設定である。そもそも大抵のTVゲームには、大なり小なりやり込み要素は設定されているものだ。
1983年~1985年頃、ファミコンの中心はアクションゲームとシューティングゲームだったので、主なやり込み要素と言えば、どこまで(=何面まで)進んだかと、何点取ったかだった。例えば、「イー・アル・カンフー」で言うと、STAGEを幾つまで進んだかであり、「スターラスター」ならばクリア時のトータルスコアが何点かと言う具合だ。さて、「スーパーマリオ」ではどうだろうか。
どこまで進んだかという点では、もちろん目安は8-4クリアになるだろう。しかし、ワープゾーンを駆使すれば、それほど難しい話では無い。次に、何点取ったかという点では、プレイのちょっとした違いで得られる点数に大きく差が付けられている。これは、当時、難易度が変わってループし続けるゲームが多かったので、ゲームし続ける主なモチベーションがハイスコア(高得点)だったことを受けていると思われる。ハイスコアを目指すことが当時の主流な遊び方だった訳だ。
例を少し挙げる。

少し下だと2000点

まずは簡単なものからご紹介すると、コースクリア時のポールへのダイブがある。
この場面では、掴む高さによって得られる得点が異なるが、さらに、コースクリア時のタイム下一桁が1、3、6の時に、それぞれの数値と同じ回数の花火が上がる。花火一発500点の加算もある。当時、単純な子供だった私は、やっとクリアできたのに最後のジャンプで失敗して400点止まりだったりすると、次の面では最後まで気を抜かないぞという気持ちにさせられていたものだ。
“残り時間の下一桁が0の時に、階段最上段の左端ギリギリからBダッシュすれば、5000点+花火6回の最高点になるぞ!練習してコツをつかもう!”
そんなことまで、攻略記事や攻略本には書いてあったものだ。

スーパーマリオコレクションSP

次に、敵の倒し方である。
ただ通り過ぎるだけの敵キャラ(※2)が多いが、どの敵キャラも倒すと得点できる。しかも、倒し方により、得られる点数が異なるのだ。
ここに、ハイスコアを目指すという遊び方を念頭に、絶妙な設定が散りばめられている。

(※2)少し脱線するが、宮本氏による手書きの企画書(「任天堂公式サイト>「社長が訊く『スーパーマリオ25周年』>『スーパーマリオ』生みの親たち 篇」または、Wii用ソフト『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』の中のブックレットの8ページ目)によると、敵が「おじゃま」と書かれているのだ。「スーパーマリオ」の敵は、ただの“お邪魔虫”だったのである。確かに、ジュゲムなどの一部を除いて、特段マリオ(やルイージ)を追いかけてくる訳でも無く、淡々と移動し、淡々と通り過ぎる敵キャラが多い。要するに、やろうと思えば無視できる存在なのだ。

では、最弱の敵、クリボーでご説明しよう。

一匹ずつ踏む
普通に1匹ずつ踏むと、それぞれ100点だ。
ファイアマリオで倒す
ファイアボールで倒しても、それぞれ100点だ。
連続して踏む
しかし、連続して踏むと、1匹目が100点だが2匹目は200点になる。
同時に踏む
さらに、同時に踏むと、1匹目は100点だが2匹目が400点にもなる。

どれもクリボーを倒した事実には変わりない。
しかし、「スーパーマリオ」ではその状況により得られる点数が細かく設定されており、しかも、連続して倒せば1000点、2000点と増え、8000点の次からは1UPになり、果ては無限1UPまで可能だったことは、今更言うまでもないだろう。その絶妙なバランスこそが、「スーパーマリオ」の魅力なのだ。

こうして「スーパーマリオ」の魅力を紐解くと、分かり易い操作性、色彩やBGMによる入り易い世界観、細かいやりこみ要素の設定など、様々な要素がさりげなく盛り込まれているのが分かる。この辺りのバランスの良さがヒットの秘訣だったのではなかろうか。

さて、次章では、TVゲームには付き物である、“裏技”を取り上げる。ヒット作「スーパーマリオ」には、実に多くの裏技が存在した。その中から、今回の紹介動画でさりげなく映している全17種類の裏技(テクニック)を全てご紹介する。

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【Wii U 本体&周辺機器】

【Wii 周辺機器】
 ※Wii版のスーパーファミコンのVCで遊ぶには、Wiiリモコン(Wiiリモコンプラス)と共にクラシックコントローラー(クラシックコントローラーPRO)が必要です。

【Newニンテンドー3DS 本体】

【ニンテンドークラシックミニ】

その他

文中登場したファミコン及びスーパーファミコン用ソフトのバーチャルコンソール(VC)対応表(文中登場順、2015年9月19日現在)です。

タイトルWii版VCWii U版VC3DS版VC備考
「スーパーマリオブラザーズ」各514円(税込)
「ドンキーコング」各514円(税込)
「マリオブラザーズ」各514円(税込)
「イー・アル・カンフー」各514円(税込)
「スターラスター」×各514円(税込)
「スーパーマリオギャラクシー」×××Wiiディスクソフトだが、Wii Uにてダウンロード版が配信されている(税込2,700円)
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